エピソード1

3歳児を担任していた時のことです。
進級したばかりの春の頃、3~5歳児合同で、園庭にて外遊びをしていました。
新しく新設されたブランコが大人気。
ブランコが3台しかなく、10人くらいがずらりと並んで順番を待っていました。
ブランコは危険なので、園ではいつも交代で、必ず保育士が付き添うようにしていました。
その日は丁度わたしが担当。
園では「30数えたら交代」という約束を決めていたので、交代を促したり、危険がないように見守ったりしていました。
すると、担任しているA君が並んでいる10数人を無視して、ブランコの順番を待っている子の列の2番目のところにさっと入ってきたのです。
あまりに堂々とした様子に「え!?堂々と横取り?!」と内心驚き、叱る前にまずは聞いてみることにしました。
「ねぇねぇA君、何してるの?」とわたしが問いかけると「あ、先生!ちょっとね、ブランコ横取りしようと思って!」とのこたえ。
何の悪ぶれた様子もなく、満面の笑みで言うのです。
叱るのも忘れて思わず笑ってしまいました。
4、5歳児になってくると、もしとっさに横取りしてしまったとしても、先生に言われたことで「横取りは悪いこと」「悪いことをしてしまった」という気持ちになるでしょう。
「ヤバイ」とか「怒られるかも」なんて思い、あんな満面の笑みでこたえるなんてできないはず。
早生まれのA君は、3歳になったばかり。
彼の行動は「ブランコに乗りたい」という一心だったのでしょう。
もちろん、その後A君にはきちんと順番について話し、列の一番後ろに行ってもらいました。
自分のしたいことに真っ直ぐな3歳の素直な可愛さを改めて実感しました。
7年前の話ですが、あのときのA君の笑顔がいまだに忘れられません。